Grand Seikoは2026年6月24日の公式プレスリリースで、単発の話題作を前面に出すのではなく、Evolution 9 Collectionの中核そのものを磨き直した。今回の更新は合計9リファレンスで構成され、5本のSpring Drive U.F.A.モデルと4本のHi-Beat機械式モデルを、装着性の改善、素材選定の整理、そして自然表現を軸にしたデザイン言語の再強化で束ねている。

そのため、このニュースの価値は単一リファレンスでは終わらない。Grand SeikoはEvolution 9を、より一貫性のあるファミリーへと成熟させつつある。工具不要の微調整クラスプ、Ever-Brilliant Steelの採用拡大、そして信州由来のSpring Drive群と雫石由来の機械式群の役割分担が、これまで以上に明確になった。

デザインと素材

5本のSpring Driveモデルは、いまやGrand Seiko現代路線の核となった自然景観モチーフを継続する。SLGB013とSLGB015は、湖面に差し込む朝の光を思わせる明るいブルーでLake Suwaパターンを再解釈し、SLGB007はHigh-Intensity Titaniumケースで月光を映した水面のようなダークトーンを見せる。さらにSLGB009とSLGB011が、白樺林と阿寺渓谷の情景でシリーズを補完する。

刷新されたライン全体では、2mm刻みの3段階微調整クラスプが加わり、ブレスレットのテーパーも強められた。9本のうち7本はEver-Brilliant Steel製で、2本は軽量性と耐傷性を狙ったHigh-Intensity Titaniumを採用する。

技術仕様

Spring Drive側を支えるのは、2025年に発表されたU.F.A.キャリバー9RB2だ。公式情報では年差±20秒、パワーリザーブ72時間をうたい、ゼンマイ駆動の量産腕時計として依然非常に強い精度訴求を持つ。

4本の機械式リファレンスには、Grand Seikoのフラッグシップ高振動自動巻きキャリバー9SA5が搭載される。毎時36,000振動と80時間パワーリザーブを備え、今回の機械式アップデートを見た目だけでなく内容面でもしっかり支えている。

Horomagの視点

今回の発表で賢いのは、Grand Seikoが既存の人気リファレンスを捨てず、日常で効く部分を丁寧に更新したことだ。Lake SuwaとWhite Birchという成功した視覚言語を維持しながら、装着感と素材の完成度を引き上げている。従来モデルを評価しつつ、より良いクラスプやブレスレットのまとまりを望んでいたコレクターには、まさに意味のある進化だろう。

タイミングも見逃せない。Grand Seikoは精度、仕上げ、装着性を一部モデルだけの強みではなく、コレクション全体の論理へ変えつつある。新しいSpring Driveモデルは2026年9月から、機械式モデルは同年10月から順次展開予定とされている。

ソース

Grand Seiko公式プレスリリース(2026年6月24日)
Grand Seiko Evolution 9 Collection