シースルーバックに見える赤い点は装飾ではない。合成ルビーは一部の軸受に硬く摩擦の少ない面を作り、動き続ける小部品の摩耗を抑える。

なぜ受け石を使うのか

セイコーはDiashockを、衝撃に弱いテンプ軸などに使う軸受構造と説明する。Longinesも合成ルビーが可動部品の軸受になるとしている。石数は特定のキャリバーが採った設計を示す数字だ。

セイコーDiashockの受け石と耐震部品
受け石は繊細な軸を守り、摩擦を抑える。

石数は構造に従う

歯車やピニオン、付加機構が増えれば、受け石が必要な場所も増えることがある。単純な機構なら少なくて済む。数が多い方が自動的に優れ、少ない方が不足しているわけではない。

公式仕様も項目を分けている。セイコーは8L45を35石としながら、精度、脱進機素材、持続時間を別に記載する。Grand SeikoのSpring Drive 9RB2は34石だが、年差精度は振動子、IC、製造工程によるものと説明される。

セイコーDiashockの受け石と耐震部品
必要な軸受位置はムーブメント構造によって決まる。

石数だけでは精度を語れない

受け石は配置された場所の摩擦と摩耗を減らせる。しかし輪列の調整、調速機構の安定性、組立精度、腕上での一貫性までは示さない。仕上げや整備性も石数からは読めない。

セイコーDiashockの受け石と耐震部品
組立と調整の質は、石数とは別に評価する。

購入前に確認すること

まずムーブメント方式、機能、振動数、持続時間を確認し、その構造に石数が合っているかを見る。複雑なキャリバーの多石は合理的でも、日常で感じる品質とは無関係な場合がある。

購入時は公表精度、調整姿勢、耐震装置、整備案内、保証を先に比較したい。異なる方式の生の石数を並べても公平な順位にはならない。

数字ではなくキャリバーを読む

石数は可動部をどこで支えるかを示す手掛かりであり、総合得点ではない。使い方に合う設計、性能、整備体制を持つキャリバーを選びたい。