Ladybird誕生70周年のLady Bは、直径19mm、厚さ13.2mm、体積2.9cm³の自動巻き時計だ。極小径に対して丸く厚みのある輪郭を持つ。この矛盾こそ設計の核で、球形ケース、サファイアクリスタル、ポリッシュ仕上げの内周、ケースを通るストラップをムーブメントの周囲で同時に組み立てている。

コレクターが注目すべき理由

小径時計は流行として語られがちだが、Lady Bは設計課題として面白い。直径、ラグ、外から見える構造を圧縮したとき、機械式時計の個性をどこまで残せるのか。最初から小さく設計した時計は、大型モデルの縮小版より強い存在感を持ちうる。

レッドゴールドとステンレススチールのBlancpain Lady B
レッドゴールドの接写はストラップがケースを通る構造を示す。

Calibre 615が形を決める

自動巻きのマニュファクチュールCalibre 615は直径15.70mm、厚さ3.90mm。180部品、29石、3Hz、38時間パワーリザーブ、シリコン製ヒゲゼンマイを備える。記録的な数値より重要なのは、裏蓋とローターの軌道を一体で設計し、ムーブメントが外形を規定している点だ。

1956年の形ではなく、発想を受け継ぐ

起点はBetty Fiechterの時代に生まれ、当時世界最小の丸型ムーブメントを搭載した1956年のLadybird Bullet。Blancpainは復刻ではなく再解釈と明言する。泡のような量感と一体型ストラップ経路は、旧作の線をなぞらず「ジュエリーの大きさに高級機械式時計を収める」という志を取り戻す。

レッドゴールドとステンレススチールのBlancpain Lady B
二つの参照番号は素材選びと共通の19mm設計を分けて見せる。

二つの素材、同じ装着思想

0064 3642 E17は18Kレッドゴールド、0064 1142 B24はステンレススチール。どちらも7色から選べるダブルツアーのカーフストラップを組み合わせる。通常のラグを見せずケースを直接通るため、小型ドレスウォッチというより手首に載せる彫刻に近い。

レッドゴールドとステンレススチールのBlancpain Lady B
公式のペア画像で、共通構造と素材の違いを比較できる。

試着で確認したいこと

見るべきは19mmが流行か、女性用と呼ばれるかではない。13.2mmの厚さが均衡するか、二重巻きストラップが快適か、光沢あるケースの中で文字盤を読みやすいかを確かめたい。小ささを機械的な制約として扱った点でLady Bの構想は明確だ。独特の量感が魅力か重さかは、実際の手首が決める。